2020年5月21日
琉球新報(16面・生活)掲載

『新型コロナ 暮らしの現場 ーこどもたちへ・家のこと だれかに話してー』

コロナ禍の今、
子どもたちへ届けたいメッセージを琉球新報紙面で掲載していただきました

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「子どもたちへ/だれかに話して」

突然やってきた長い休校。

家から出られず、自由に遊べず、友だちとも会えず、家の中ですることもなく、
毎日ニュースはコロナコロナコロナ。

こんな暗い生活がいつまで続くか分からない中、
どんよりした気持ちで過ごした人はいっぱいいると思います。

「学校休み」「部活休み」って、いつもだったらうれしいことだけど、
こんな強制的で自由のないお休みはきついよね。
自分のことは自分で決めて行動したいのに、
選ぶ自由もなく、安心感もない中、子どもたちはよく耐えました。

学校が始まることに、わくわくしている人もいれば、
不安な気持ちでいっぱいの人もいるでしょう。

同級生と久しぶりに会うのが心配、やる気が出ない、
イライラする、体が重たい、行きたくない…。

いろんな気持ちが入り交じっているかもしれません。
そんな気持ちになることはおかしいことではありません。

どんな気持ちも大切なあなたの気持ちです。
不安な気持ちのときは、体の調子も悪くなります。

心と体はつながっているから、
あなたを守るためにSOSのサインを出してくれているのです。

これまでの生活でのイヤだったこと、
つらかったこと、どうか誰かに話してください。

家の中のことって人に話しにくいかもしれないけれど
「過ぎたことだから忘れてしまおう」「自分がガマンすればいいんだ」って、
苦しかったことをなかったことにしないでね。

これからの生活では
「休みで遅れた分、頑張れ!」「早く取り戻せ」「ぐずぐずしてたら置いていかれるよ」
などせかされたり、

おとなに余裕がなくなってあなたを責めたりすることがあるかもしれません。

でも学校が休みになったのは子どものせいではない。あなたは絶対に悪くないよ。

いやだな、怖いな、腹が立つ、そんな気持ちを信頼できる友だち、
生、近くにいる誰かに話してください。

話すことで、自分の気持ちが整理できたり、
すっきりしたり、解決方法が見えてきたりします

それから、もしあなたの近くに
元気のない友だちや1人でポツンとしている人がいたらちょっと声をかけて。

相手が何か話してきたら、黙って聞くだけでOKです。
何にも言わないでそばにいてあげるだけでもいい。

子どもには友だちを助けたり支えたりする力がある。
余裕のない親や先生がSOSに気づいてあげられなくても、子ども同士で助け合うこともできるよ。

もし難しい相談をされたときは、1人で抱えずに、その友だちと一緒に信頼できるおとなに相談に行ってね。

(文/井形陽子・CAPスペシャリスト)